荒廃農地調査の実施について (平成27年10月 農林水産省)
こちらのリンクは、図解ありでまだわかりやすいと思います。
こちらのリンクは、文章のみでちょっと読みにくいですが、この中に「遊休農地に関する措置」という項目があります。今回は、ここのハナシです。
耕作放棄地の取引では、農地法の許可を回避する方法はないのか?
結局、これはどういうハナシかといいますと、農地法にいう農地ならば、
- 農地のまま移転するならば、農地法3条の許可をうけてください
- 転用するのならば、農地法4条または5条の許可(届け出)をうけてください
ということになるのですが、
じゃあ非農地ならば、そのような面倒くさい手続きをしなくてもいいのじゃないか?
ということです。
その非農地であるということを認める制度が、大きくわけて2つあります。
- 非農地証明
- 上記のリンクにある「遊休農地に関する措置(荒廃農地調査)」
今回は、この2つの非農地であるということを認める制度について、ご説明します。なお、
現在は耕作されていなくても耕作しようとすればいつでも耕作できるような場合は、農地なのだ、
ということは再度押さえておいてください。
非農地証明と「遊休農地に関する措置(荒廃農地調査)」の違い
非農地であるということを認める制度が、大きくわけて2つあるのですが
- 非農地証明
- 遊休農地に関する措置(荒廃農地調査)
より認められにくいものが非農地証明、という理解でよいかと思います。
たとえば、福岡県の基準では、非農地証明がだせる条件として
- 20年以上課税地目が違う(たとえば宅地としての課税がなされていた)
- 災害復旧のため
など、かなりその条件が厳しいのですね。
「遊休農地に関する措置(荒廃農地調査)」が断られるパターン
では、もう1つの「遊休農地に関する措置(荒廃農地調査)」についてはどうなのかみていきますと、
こちらのリンクの「遊休農地に関する措置」によると(これは国から地方への連絡文書です。)
法第1条に規定する目的及び法第2条の2に規定する農地について権利を有する者の責務の趣旨を踏まえて、法令上例外措置が認められている場合を除き、法第4章の遊休農地に関する措置を必ず講じなければならないことに留意されたい。
法第31条第1項第1号及び第2号に該当しない者から申出があった場合においても、利用状況調査その他適切な措置を講じること。
など、こちらがわ(申請者側)に有利なことも書いてあります。
ただ一つ、このパターンのときは、遊休農地に関する措置(荒廃農地調査)をしなくてもいいですよ、と書いてあるのが、
対象地が法第4条第1項若しくは第5条第1項の規定に違反すると認められる場合又は法第4条第1項若しくは第5条第1項の許可に付された条件に違反すると認められる場合は、農地に該当するか否かの判断を行わないものとする。
これは、なんのことかと言いますと、もともと無断転用をしていたときのハナシです。
もともと農地を無断転用しているならば、現在は荒廃化しているとしても、それはこの制度で非農地であると認めるわけにはいかないでしょう……ということです。
もっともなことである、と思わなくもないのですが、案外これに該当することはよくあります。たとえばもともとは無断で農地に杉の木を植えていて、現在は杉の木が大きくなっているなどですね。
このような場合は、「非農地証明」をもらうということはあきらめて、原則どおり、農地法の許可の申請手続きをすることになります。
その場合、無断転用は「もうしません」という始末書を添付書類として提出することになります。
まとめ
- 現在は耕作されていなくても耕作しようとすればできるような場合は、農地である
- 非農地であるということを認める制度が、大きくわけて2つある
- そのうちの1つ「非農地証明」は認められにくい
- もう1つの「遊休農地に関する措置(荒廃農地調査)」も認められないパターンはある
- 両方共に認められない場合は、原則どおり農地法の許可を得れば、移転や転用はできる
わたしはまだ、「遊休農地に関する措置(荒廃農地調査)」の申請をまともに受け付けていただいたことはありません。なんだかんだで断られています。この記事は、情報提供のために書かれました。