賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五十年を超えることができない。
農地の賃貸借、期間の上限は50年です
現在、農地を農地のまま借りる場合の期間の上限は50年です。根拠は民法604条で、農地であるかどうかを問わず、土地の賃貸借は最長50年となっています。
かつては、民法の上限が20年であったため、農地についてだけ「二十年」を「五十年」と読み替える特則が農地法19条に置かれていました。
しかし2020年(令和2年)4月1日に民法604条そのものが50年に改正され、この特則は役目を終えて削除されました。現在の農地法を見ても、19条は「削除」とだけ書かれており、条文は存在しません。
そのため、いま農地の賃貸借期間を調べて農地法19条を探しても見つかりません。根拠条文は民法604条です。古い解説書やウェブサイトには農地法19条を挙げているものが残っていますので、ご注意ください。
「借りる」と「賃貸借」は同じではありません
借りる=賃貸借ではないので、このようなタイトルになっております。
賃貸借は、対価となる賃料が発生するという意味で、同じ債権契約としての使用貸借と区別されます。
使用貸借は、お金を介しない、貸し借りというイメージでよろしいかと思います。
農地は、期間の長さよりも「終わらせ方」に制限があります
実務で問題になりやすいのは、上限が50年であることよりも、契約をどう終わらせるかです。農地法には次の2つの規定があり、こちらは現在も生きています。
農地又は採草放牧地の賃貸借について期間の定めがある場合において、その当事者が、その期間の満了の一年前から六月前まで(略)の間に、相手方に対して更新をしない旨の通知をしないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものとみなす。ただし、水田裏作を目的とする賃貸借でその期間が一年未満であるもの、(略)農地中間管理権に係る賃貸借(略)については、この限りでない。
つまり、期間が満了しても自動的には終わりません。満了の1年前から6か月前までの間に「更新しない」と通知しなければ、同じ条件で続いたものとみなされます(法定更新)。
農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、政令で定めるところにより都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。(以下略)
解除も、解約の申入れも、合意による解約も、更新拒絶の通知も、原則として都道府県知事の許可が必要です。そして許可を受けないでした行為は効力を生じません(同条5項)。「当事者が合意したから終わり」とはならない点が、通常の土地の賃貸借と大きく異なります。
期間を10年以上にするかどうかで、終わり方が変わります
ここが、期間を考えるうえで実務的に効いてくるところです。
農地法18条1項3号により、10年以上の期間の定めがある賃貸借については、「更新をしない旨の通知」に知事の許可が不要とされています(解約をする権利を留保しているものなどは除きます)。
つまり、期間を10年以上にしておくと、期間満了で終わらせたいときに、知事の許可を経ずに更新拒絶の通知ができます。ただしこれは「更新しない旨の通知」についての例外であって、途中解約(解除・解約の申入れ)まで自由になるわけではありません。
どの期間で設定するのがよいかは、貸す側・借りる側の事情によって変わります。実際の契約にあたっては、農業委員会やお近くの行政書士にご相談ください。
目的によって、適用される法律が変わります
ここまでは「農地を農地のまま貸し借りする」場合の話です。目的が変わると、適用される法律も変わります。
建物を所有する目的である場合には、借地借家法という特別法が優先します。特に普通借地権では、最「短」30年です。上限ではなく下限が定められている点にご注意ください。
なお、定期借地権というものは、その最大の特徴は、契約更新がないことです。地主が土地を貸しやすくして、用地の供給促進を図る制度です。
賃貸借契約だけでなく、それぞれの契約ごとで、その契約がどのように終わるのか?更新はあるのか?という点は、非常に重要なポイントとなります。
また、農地をソーラーパネルの敷地として貸す場合、現在は民法604条により最長50年です。なお、農地を農地以外のものにするには、別途農地法第5条の許可(転用と権利移転)が必要になります。
【参考】2020年3月31日以前に契約した場合
すでに結ばれている古い契約については、当時の条文が関係してくることがあります。参考として、改正前の整理を残しておきます。
賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、二十年とする。
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から二十年を超えることができない。
農地又は採草放牧地の賃貸借についての民法第六百四条(賃貸借の存続期間)の規定の適用については、同条中「二十年」とあるのは、「五十年」とする。
民法と農地法の関係は、一般法と特別法という関係にあり、特別法が優先するという関係にあります。
よって当時は、民法における賃貸借期間の上限は20年でしたが、特別に農地の賃貸借の場合は、上限が50年に伸びていました。
これは、農地法の目的から考えても妥当かと思われます。国民に対する食料の安定供給の確保、という観点からは、農地の賃貸借が上限20年というのは短い!という判断だったのでしょうね。
そして2020年4月1日に民法604条が50年に改正されたことで、農地だけを特別扱いする必要がなくなり、農地法19条は削除されました。現在は、農地もその他の土地も、一律に最長50年です。
本文は、ここまでです。そもそも農地法における農地にあたるかという判断基準については、こちらの記事を参照ください。
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